室内セット(壁面)
室内のシーンなどで使う壁の作り方を紹介します。撮影中に床や壁が動かないようにしっかりした構造にしないといけませんが、アニメートの時に邪魔な壁を取り外したりと、必要に応じて手軽にバラせる構造にすることが大事な点です。
構造
基本的には床の基礎と同じように木材でパネルを組みます。壁同士は下の画像のようにシャコ万力を使って止める構造にすれば、頑丈に止められるし、自由にばらせます。
シャコ万力で止める場合は、固定するためのノリシロが必要です。下の画像の左のような構造ではシャコ万力で止められないので、寸法を決めるときは気をつけてください。
セットはアニメートするときのことを考えながら組みましょう。例えば右側の壁が映らない画角なら右の壁を外せばアニメートのときに手を入れやすくなります。ただし、壁を外すと反射光など照明に影響が出ることがあるので、前後のカットとの照明のつながりを確認しながら照明を調節する必要があります。
材料
木材
パネルや窓枠・ドアなどを作るときに使います。
スタイロフォーム
切削が簡単なのでさまざまな形にすることが可能です。軽量なので不安定で大きなパーツを作るのにも適しています。 切断にはニクロム線を使ったヒートカッターがあると便利です。
壁補修用パテ
そのまま壁に塗って「しっくい」の代わりに使ったり、ここではスタイロフォームの目止め剤として使っています。 造形用のパテと比べると精度は落ちますが安くて大量に使うときは重宝します。厚塗りは出来ないのでその点は注意が必要です。
その他
木工用ボンドやパステル・ネオカラー・ハケなど
作成例
下の画像のようなログハウス風の壁を作ってみます。
最初に木材を使ってパネルを作ります。構造は床と同じですが、床ほど負荷はかからないので板は5mm厚ぐらいでも十分です。美術用品店で完成している木製パネルを売っているので、それを流用することもできます。窓やドアをつけるときはこの時点でパネルに穴を開けておきます。
スタイロフォームで丸太を作ります。細く切ったスタイロを丸太の形に削って、木工用ボンドでパネルに貼り付けていきます。
ボンドが乾いたら壁の補修剤をスタイロに塗って表面をコーティングします。
補修剤が乾いたらネオカラーで基本色を塗り、パステルなどで汚しを入れます。
次に壁の装飾パーツを作ります。今回は木材で窓枠を作りました。
透明プラスチック板に1000番の耐水ペーパーで傷をつけて窓枠にはめ込みます。
ドアも窓枠と同じように木材で作りました。ホームセンターなどで売っている小さい「ちょうつがい」をつけているので開閉が可能です。ドアが開く向きを確認しながら取りつけましょう。
窓やドアがあるときは、そこから見える外の景色(抜け)に注意しないといけません。図のようにドアの開く方向によっても変わってくるので、抜けが必要な 場合は、あらかじめ外のセットも用意しておく必要があります。以上のようにセットを作るときは撮影のことを想像しながら作業を進めましょう。