足の固定(ピンを使う)(概要)
人形アニメーションでは、基本的に人形の足は地面に固定して撮影します。例えば人形が立ったまま手をふるような上半身だけ動く場合に、地面についている足が動いてしまったら不自然です。また、右足を前に出す動作の最中に左足の位置が動いても不自然です。なので、足が動かないときは足を何らかの方法で地面に固定するときれいなアニメーションになります。
虫ピンで人形の足を地面に固定する方法は、日本の人形アニメーションの生みの親持永只仁氏が考案した日本独自の手法です。人形の足の上からコルクで作った地面に向かって虫ピンを刺して足を固定します。
この方法は慣れるまで虫ピンを刺すのに少し練習が必要ですが、海外でよく使われているネジを使って足を固定するタイダウン方式に比べると、この方法はペンチさえあれば出来るので、あまり環境が整っていない人でもやりやすいし、慣れれば虫ピンを使ったほうが早いです。また、人形以外の家具などの小道具も虫ピンで止められるという利点もあります。
人形の足は虫ピンを刺しやすい鉛板を入れるか、プラスチックなどの硬い素材にあらかじめ虫ピンを刺すための0.8mmの穴を開けておきます。虫ピンの頭は事前にペンチで切り落としてから使います。写真は分かりやすいように虫ピンを途中まで刺した状態ですが、奥まで刺せばほとんどカメラには映りません。
使用例 歩く場合
人形の片足の上から虫ピンを刺して撮影台に固定し、人形を立たせます。
撮影を始めます。固定していないほうの足を動かして1コマずつ動かしていき、一歩前に踏み出します。
踏み出した足が地面についたら虫ピンを使って足を固定します。
反対側の足の虫ピンを抜きます。
撮影を続けます。虫ピンを抜いたほうの足を1コマずつ動かしながら撮影し、もう1歩前に踏み出します。
踏み出した足が地面についたら虫ピンを使って足を固定します。後はこの繰り返しです。