トップ人形アニメの作り方 コマ撮り環境(ビデオアシストシステム)


コマ撮り環境(ビデオアシストシステム)
一言でいえば、撮影中にアニメーターが人形の動きを確認するための仕組みです。
コマ撮りの撮影では、人形の動きを確認しながら撮影を進めていきます。もしビデオアシストシステムが 無いと、本番撮影用のデータを編集ソフトに取り込み、ムービーにして再生しないといけません。これでは時間が かかりすぎるので、早く、簡単に、その場で、動きを確認できる仕組みが必要というわけです。
機能としては、カメラに映っている画を取り込み、再生ボタンを押せばすぐに今まで撮影した分の動画が再生されること。 直前に撮影した画と、現在カメラに映っている映像(ライブ映像)を交互に写して人形がどのくらい動いたのかを確認する。 さらに2コマ前、3コマ前の画と連続して写す。などがあります。
まず、ビデオアシストシステムに使うカメラを紹介します。

1.ビデオカメラ
1394ケーブル(IEEEケーブル)が接続できるものが便利です。

設置には本番用のカメラの上や横などに設置する方法と本番用カメラのファインダーに設置する方法があります。

本番用のカメラの上や横に設置すると、高画質でクリアな映像で動作確認をすることができます。 また、小さいものを動かすときはズームで寄って動作確認に必要なところだけを見ることが可能です。 しかし、本番用カメラとはアングルが少し変わってしまうので、本番用カメラでどう見えているのかを 常に意識しながらアニメをしないといけないのが欠点です。
もう一つ、ビデオカメラを本番用カメラのファインダーにビデオカメラを設置すると、本番用と同じアングルで 動作確認をすることが出来るので、正確な位置の把握が可能です。しかし、カメラのファインダー越しの映像なので 画質は荒く、細かい箇所まで把握しきれないのが欠点です。

2.CCDカメラ
ビデオカメラよりも小型で邪魔にならないのが長所ですが、出力がアナログ端子のものがあるので、DVコンバーター などを使って1394ケーブル(IEEEケーブル)に変換する必要がある場合もあります。

CCDカメラの場合もビデオカメラと同じように本番用カメラの上か横に設置する方法がありますが、一眼デジカメの ファインダーに取り付けることが出来る製品もあり、CM撮影のときにこれを使っているところもあります。


次に具体的なビデオアシストシステムの構築例を紹介したいと思います。

例1(CCDカメラ+ランチボックス)
ビデオアシストシステムと言えばランチボックス。といってもいいぐらい長年、現場で活躍し今でも使っている 人が多い環境です。
下図のようにCCDカメラとランチボックスを接続します。1394ケーブル(IEEEケーブル)またはアナログAVケーブルで 接続します。ランチボックス本体にあるシャッターを押すとランチのメモリーに画像が保存されるので、コントローラー にある各種ボタンで、動画の再生や前のコマの表示など、動作確認に必要な操作を行うと、ランチボックスに接続した 出力用モニターに表示される。というものです。 操作もわかりやすく長年使われてきた実績があるので、ビデオアシストシステムにはもってこいのツールですが、 けっこういい値段なので、個人で購入するのは少し大変かもしれません。

例2(ビデオカメラ+コマ撮りソフト)
ビデオカメラとパソコンを1394ケーブル(IEEEケーブル)で接続するので、カメラもパソコンも1394ケーブルを接続できる 機種を選択しないといけません。 この環境なら、コマ撮りソフトを使って簡単に画像を取り込み、動画にして再生することができます。 コマ撮りソフトならではの機能があり価格も安いです。
しかし、パソコン本体の動作不良など安定性ではランチボックスには劣ります。操作性もコマ撮りソフトに依存するので、 どのソフトを使うかで変わってきますが、逆に言えば選択肢があるので自分に合ったソフトを選ぶことが出来ます。 コマ撮りソフトの詳細は各項目で紹介しているので、そちらを参照ください。

例2(CCDカメラ+コマ撮りソフト)
CCDカメラがアナログAVケーブルにしか対応していない場合は前述した通り、間にDVコンバーターを入れて1394ケーブルに 変換しないといけません。しかし、接続方法が少し変わるだけで操作方法が変わることは無いので一つ機材が増える程度の 変更しかありません。

※ 最近のビデオカメラは1394ケーブルがついている機種がほとんど無くなりました。変わりにHDMI端子がついていますが、 HDMIを1394ケーブルに変換するコンバータは9万円前後と、けっこう高額なのであまりオススメできません。
ヤフオクなどで一時代前の1394ケーブルがついている機種を中古で買うか、CCDカメラとDVコンバータを買うほうがいいと 思います。


本番撮影とビデオアシストシステムの環境を統合する
今まで本番撮影に使うカメラとビデオアシストシステムに使うカメラは別に用意する方法を紹介してきました。 しかし、最近ではライブ映像に対応した一眼デジカメを使うことで、一台のカメラで本番とビデオアシストの両方を兼用できるようになりました。
下図のように一眼デジカメとパソコンをUSBケーブルで接続し、パソコンのコマ撮りソフトですべてを操作します。人形を動かした後に コマ撮りソフトでシャッターを切ると、動作確認用のサイズの小さい画像と、本番用のサイズの大きいオリジナル画像の両方を撮ってくれます。
ただし、この環境を使うには、一眼デジカメはライブ映像を出力することができるCANONかNikonの特定の機種で、コマ撮りソフトも この機種に対応しているものを使わなければいけません。有名なソフトではstopmotion proやDragon stopmotionがあります。 それぞれのサイトで対応している一眼デジカメの機種があるので、よく確認してから購入する必要があります。



ビデオアシストシステムを使った場合の撮影手順
ビデオアシストシステムを使った場合の実際の撮影は以下のような手順になります。

1.人形を動かす。
  ビデオアシストシステムで前のコマと交互に写して(「前今」とか「パカパカ」とか言います)、
  動きを確認しながら人形のポーズを決めます。必要があれば、今まで撮影したところまで再生する
  こともあります。

2.ビデオアシストシステムで画像を取り込む。
  まずビデオアシストシステムで画像を取り込みます。

3.本番環境で画像を取り込む。
  本番用データを取り込みます。アシスタントがいる場合は、取り込んだ画像に何か問題はないか
  確認してもらいます。

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ビデオアシストシステムの欠点
便利で万能なように見えるビデオアシストシステムですが、一昔前はビデオアシストシステムがない状態で コマ撮りをしていたので、これが無いとコマ撮りができない。というものではありません。
ビデオアシストシステムがない頃は別ページで紹介している目安棒を使って 人形の位置をマーキングして、人形がどれくらい動いたのかを確認していました。 目安棒のほうが有利な場合もあります。特にビデオアシストシステムは 画面に対して上下左右の動きはわかりやすいですが、手前奥の動きは把握しにくいです。 また、動かす対象が極端に小さい場合や、照明がとても暗いときは画面では把握しにくいので、目安棒で計ったほうが 動かしやすい場合があります。
目安棒は使い慣れるまでが大変ですが、慣れればビデオアシストシステムで画面と人形を交互に見比べながら撮影するよりも 早く撮影することができます。